書籍:「失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織」感想

要約

この本は失敗から学ぶことの重要性を、失敗を隠すことや失敗を認めないと傷が大きくなる。ということを対比しながら見ることができる。

インシデントの扱い方

インシデントが起きた時の扱い方として、航空業界と医療業界をあげている

航空業界では、事故は起きるものという前提で、測定器や人の会話など様々なデータがオープン化され、それらを集約し事故につながる予兆や事故になった時の原因把握に、機械的要因やそれに至る心理的要因に至るまでを調査し改善策に乗り出している。

医療業界では失敗はないものという前提で心理的なミスについてはよく起きるものとして対処される場合が多々ある。これについてミスを報告すると罰せられるというシステム、風潮があるため。

このことについて、ミスを報告しやすくするために処罰ではなく賞賛するようにしたところ、報告が増えそこから改善策が見出せるようになった。

認知的不協和

検察官等、門が狭い職の人ほど陥りやすいのが、自分の間違いが発覚しても事実の解釈を変えてしまう。間違いを認めると自分のことまで否定されてしまうように感じるため。

試行錯誤

理論から導くのも一つ。ただそれでうまくいかない場合は試行錯誤し、大量に試しながら失敗の中から成功を見つける。

いきなり完成品を見るのではなく、小さなものを作りフィードバックを得ながら作成していく。

実際に体験した人と体験しなかった人の比較実験が有効

少年の刑務所体験例

非行に走った子供達を実際に刑務所に数時間ぶち込み、刑務所体験を行う。

そこで刑務官や囚人に罵詈雑言を浴びせられ、こんなところにブチ込まれたくない。

ということを教えるTV番組

一見素晴らしい効果があり被験者は校正したかに見えたが、実際は約半数が非行に走った。

アンケート結果は8割は変化した。とあるが実際は見栄を張りたく再犯を犯すといったことが多々あった。

そもそものアンケートの結果がアンケートに答えた家のの子供達だけであり、答えなかった子供たちは一切含まれていない。という問題点

責任辞任の意味とは?

何か問題が発生した時は、被害を受けた人や無関係な人は誰か一人や組織を犯人にしないと気が済まないらしい。ただ、そこで犯人を槍玉にあげたとて問題は何も解決しない。

当事者にしかわからないこともある。また辞任しても物事が変わるわけではない。

監視が厳しくなった結果、過剰反応になりやりすぎた結果、かえって物事が悪くなることも多々ある。

まとめ

結局のところ成功は無数の失敗の上に成り立っている。突然何事もうまくいくことなどない。

ただ失敗の捉え方を間違えないことがうまくいくことにつながり、失敗は起こさなくするのも大事だが起きることとして心構える